前回の記事では、家庭教師の個人契約と、派遣型(紹介・センター)サービスの違いを、管理主体やお金の流れといった 外側の仕組み から整理しました。見ていく中で、この二つは料金やルールが違うだけでなく、そもそも契約の形そのものが違うという点が見えてきたと思います。
※前回の記事はこちら

この記事では、その違いを前提にしたうえで、家庭教師の個人契約とはどんな考え方の上に成り立っている契約なのかをもう少し内側から整理していきます。ここでは比較を主目的にせず、個人契約そのものの「中身」を見ていきます。
個人契約は、なぜこの形になるのか
家庭教師の個人契約は、家庭と先生が直接やり取りをして契約を結ぶ形です。この時点で、関係に関わるのは家庭と先生の二者だけになります。
派遣型サービスのように、運営会社が間に入り、管理や調整を引き受ける形ではありません。つまり個人契約では、関係をずっと管理し続ける第三者が、 最初からいない状態で始まるという前提があります。これは、「そういう運営をしていないから」ではなく、個人契約という形を選んだ時点で自然とそうなる仕組みです。
当事者が二人だけということの意味
関係に関わる人が家庭と先生の二人だけである以上、やり取りの中心は、最初から最後までこの二人の間にあります。
途中から
- 管理をしてくれる人
- 判断を代わりにしてくれる人
- 間に入って調整してくれる人
が自然に現れることはありません。
誰かが第三者としてずっと間に入るためには、その人自身が契約の当事者である必要があります。個人契約ではそのような存在がいないため、関係は常に家庭と先生のものとして続いていくことになります。
これが個人契約が「直接つながる関係」になる理由です。
問題が起きたとき、どこに話が戻るのか
家庭教師の個人契約では、指導が始まったあとに小さな違和感や問題が出てくることもあります。
そのとき、その話がどこに戻るかは、あらかじめ決まっています。それは、契約をしている家庭と先生本人です。
派遣型サービスでは、困ったことがあれば運営会社に相談することができます。そのため場合によっては、先生に直接相談するだけでなく
- 会社が間に入って調整する
- 別の先生を紹介する
といった対応を受けることもできます。
一方、個人契約では、そのような「相談先の分かれ道」は最初から想定されていません。関係に関わっているのが二人だけなので、問題や違和感が出てきたときは、必ず先生と家庭との話し合いによって解決する必要があります。
行動や責任が当事者に集まるということ
この仕組みの中では、
- 状況を整理する
- 話し合いの場をつくる
- 指導を続けるか、終えるかを決める
といったことを、誰かが代わりにやってくれる前提がありません。そのため、こうした行動は自然と家庭と先生の側に集まります。
これは「責任を押し付けられている」という意味ではありません。誰かが代わりにやってくれる前提がないため、当事者が動く以外の選択肢がない、というだけです。その結果として、家庭にも先生にも、「関係を扱うための行動」が自然に求められるようになります。
この仕組みが、家庭と先生に求める行動
個人契約では、関係の管理や調整をしてくれる第三者が存在しません。
そのため、関係を前に進めるための動きは家庭と先生自身が担うことになります。
ここで求められる行動は、前向きさや努力の話ではなく、関係が止まらずに進み続けるために必要になる動きと考えると分かりやすいと思います。
家庭に求められる行動
家庭は、
- 指導内容や条件について、言葉にして伝える
- ちょっとした違和感をそのままにせず、溜めずに伝える
- 続けるかどうかを自分で判断する
といった行動を避けられません。これは、家庭が特別に頑張らなければいけないという話ではありません。個人契約では、家庭が何も言わないままでいると、関係がはっきりしない状態のまま続いてしまうからです。
派遣型サービスであれば、運営会社が状況を整理し、次の動きを考えてくれます。個人契約ではそれがないため、家庭が言葉にしない限り、関係はその場にとどまり続けます。だから家庭には、関係を前に進めるための行動が自然と求められることになります。
先生に求められる行動
先生側も同じです。
- 家庭の考えや希望を直接受け取る
- 条件や指導の進め方を説明・相談する
- この関係を続けるかどうかを自分で決める
といった行動が必要になります。これは、先生に過度な負担を強いるという意味ではありません。
派遣型では、家庭との間に出てきた違和感や調整事項を運営会社が整理し、方針を決めてくれます。個人契約では、その役割を担う人がいないため、先生自身が関係を言葉にし、方向づける立場になります。その結果として、先生は単に「教える人」だけでなく、関係そのものを扱う当事者として関わることになります。
マッチングサービスは、この仕組みのどこを支えているのか
ここまで読むと、個人契約には少し慎重さが必要だと感じたかもしれません。
そこで大切になるのが、マッチングサービスの役割です。マッチングサービスは、個人契約を別の契約形態に変えるものではありません。
一方で、ただ出会いの場を用意してあとは任せきり、という存在でもありません。
マッチングサービスが支えている部分
マッチングサービスが引き受けているのは、契約が始まる前段階の負荷です。
たとえば、
- 家庭と先生が、どんな条件や価値観を持っているかをあらかじめ整理して見える形にする
- 指導内容・頻度・条件といった、話し合いが必要になりやすい点を事前に分かるようにする
- 相手を知るための情報をある程度そろった形で確認できるようにする
といった部分です。これによって、家庭も先生も、
- どんな点を話し合う必要があるのか
- どこがすり合わせポイントになりやすいのか
を関係が始まる前からイメージしやすくなります。これは、個人契約においてもっともミスが起きやすい「初期のすれ違い」を減らす役割を果たしています。
判断を代行しないからこそできること
マッチングサービスは、
- 続けるかどうか
- 条件を変えるかどうか
- 関係を終えるかどうか
といった判断を、家庭や先生の代わりに行うことはありません。ただし、それは支援をしていないという意味ではありません。むしろ、
- 判断の材料になる情報を整える
- 当事者が話し合うための前提を揃える
- 誤解が起きやすいポイントをあらかじめ示す
ことで、当事者が判断しやすい状態をつくるという支え方をしています。
あえて引き受けない部分もある
一方で、マッチングサービスがあえて引き受けていない部分もあります。
それは、
- 日常的なやり取りの調整
- 問題が起きた後の最終的な判断
- 続ける・終えるといった決断
です。これらを引き受けてしまうと、個人契約は「直接つながる契約」ではなくなってしまいます。
マッチングサービスは関係の外側に立ち続けることで、
- 個人契約という形が保たれ
- 当事者の主体性を奪わず
- 行動や責任の行き先を最初から分かりやすくする
という役割を果たしています。
個人契約を現実的な選択にする存在
整理すると、マッチングサービスは、個人契約の大変さを消す存在でも、個人契約の代わりになる存在でもありません。そうではなく、
個人契約という仕組みを理解したうえで、 その関係を始めやすくするための環境を整える存在
だと言えます。
関係の中に入り続けることはしませんが、関係が始まる前の段階で、当事者が無理なく向き合える状態をつくる。それがマッチングサービスが個人契約の中で果たしている役割です。
家庭教師の個人契約とはどんな契約なのか
ここまでを整理すると、家庭教師の個人契約は、家庭と先生の二人が直接向き合い、 関係・問題・判断・継続・終了を 自分たちで扱っていく契約だと言えます。
その中で、家庭にも先生にも、関係を進めるための行動が自然と求められます。
マッチングサービスは、その仕組みを変えるのではなく、引き受けやすくするための環境を整える存在です。
次の記事につながる話
この構造を理解することで、個人契約の良い点や注意点がはっきり見えてきます。
次の記事では、こうした個人契約の特徴を踏まえたうえで、 メリットとデメリットを具体的に整理していきます。
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